受け売りの話シリーズ(8)
笑顔について
ボストンレッドソックスの松坂大輔投手を見ていて、
最近思うことがある。
甲子園での活躍や西武ライオンズに在籍していた時には
(たぶん情報不足で)感じなかったのだけれど、
彼の笑顔はなんて魅力的なのだろう。
挫折や不幸とはまるで縁遠いようだ。
もちろん、努力と才能に裏づけされてのことだろうし、
本人にとっての挫折や不幸もあるかもしれない。
けれど、それを感じさせないあの「笑顔」がすごいと思う。
僕の周りの人たちでも、「仕事は順調」「家庭は円満」で
幸せに見える人たちは、彼と同じように笑顔が素敵な人たちばかりだ。
こんなふうに「笑顔」について考えたのには理由がある。
先日、近所のスーパーマーケットの入り口で、
ベンチに座っていた老婦人に「ちょっとあなた」と声をかけられた。
その老婦人は携帯電話を僕に向けて差し出すと、
「かけていただける?」と云った。
どうやらかけかたが分からなかったらしい。
僕は無言&無表情でその携帯電話を受取り、
老婦人の云った番号に電話をかけ、
呼び出し音が鳴った時点で携帯を返し、
そのまま買い物に向かった。
老婦人は携帯を受取ると、そのまま話し込みはじめた。
先日、マンションのお隣、Yさんご夫婦の娘のKちゃんという、
小学校1、2年の女の子が、マンションの玄関ドアの前で、
スクールバスに手を振っていた。
僕が玄関ドアを開けて「お帰り」と云うと、彼女は少し経ってから
「ただいま」と小声で返してくれた。
僕は「お帰り」と云った時に、笑顔ではなく無表情だった。
もし僕が2つのケースで笑顔だったとしたら、
どういう雰囲気になっていただろう。
もっとお互いが、あたたかい気持ちになれたのではないか...。
何の本で読んだのか、定かではないけれど、
「楽しいから笑顔になるんじゃない、笑顔でいるから楽しいのだ」
という言葉を思い出した。
また、笑顔でいると免疫力が高まるなんて話もある。
たぶんこれらの説は正しいと思う。
さらに云えば、仏教では「布施」することによって
徳を積むという考え方があるけれど、
「他の人に笑顔で接することだけでも、布施になる」という話を
読んだことがある。おそらく瀬戸内寂聴さんの著作だと思う。
「笑顔」は「幸せ」につながる重要な要素なのだろう。
何より、松坂投手や僕の周りの幸せそうな人々の素敵な笑顔が、
概念より事実で強く物語っている。
僕は...といえば、かれこれ10年以上、心の底から笑ったことなど、
数えるほどしかない。
ひとり暮らしだし、仕事も自宅でやっているので、
笑顔を向ける相手もいない。
笑顔自体も、もしかしたら忘れてしまっているかもしれない。
楽しくないのに笑顔でいることはむずかしいことだ。
逆に、ひとりぼっちなのに笑顔でいたら無気味だろう。
鏡の前で、笑顔を作る練習でもしてみようか。

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