雑記
天国からのおこづかい

 

月に一度の主治医の診察を予約するタイミングを逸してしまい、
一週間ほど、残り少ない薬を小分けにして飲んでいた。
体調も良かったし、精神的にも落ち着いていたので、
できればこのまま薬を飲まない生活に戻りたいと思った。
けれど、やはり急に薬を止めるのではなく、
徐々に減らしていった方が良いだろうと思い直し、
診察を受け、処方箋を書いてもらい、
薬を受取った次の日から、それまでの一週間の反動が出た。

昨日は、頭がボーッとして、風邪をひいて治りかけの、
地に足がつかないようなフワフワとした感覚に陥った。
典型的な自律神経失調症の症状だ。

そして今日、再び薬を飲みはじめたにもかかわらず、
猛烈な不安感と焦燥感が襲ってきた。

「このままじゃダメになる」
「何かを変えなければダメになる」
「自分自身を変えなければダメになる」
けれど、何をどう変えれば良いのか、まったくわからない。

この病を患ってからの三年間、
仕事は生活できるギリギリの状態まで減ってしまった。
というか、気力が湧かないから、仕事を増やそうという努力を
まったくしなかったのだ。
もし僕の生活をつぶさに見ている人がいたとしたら、
「ふぬけ」のように見えるだろう。
僕はそんな自分に「罪悪感」と「劣等感」を感じている。
いつの日か、この「ふぬけ」のように生活した報いが
訪れることを恐れている。

僕はそんな不安感と焦燥感と罪悪感と劣等感に押しつぶされそうで、
祖父母と両親の遺影に手を合わせて祈った。

そんな今日、夕食の買い物から戻って郵便受けを開けてみると、
一通の葉書が届いていた。亡くなった親父の従兄弟である、
本家のおじさんからだった。

市の区画整理に伴って移転した一族の墓地の
余っていた区画が売れたので、そのお金を振込むから
銀行口座を教えてほしいという旨の葉書だった。

田んぼの中にある墓地だし、最初に墓地を移転した16戸に
分配されるので、金額は10万円を少し超える程度だ。

その墓地の一画に、今は亡き祖父母と両親と
戦時中に幼くして亡くなった親父の弟(つまり僕の叔父)が眠っている。
古い墓地からの移転にお金を出して、新しい墓を立てたのは親父だ。

偶然だろう。
けれど、僕はその葉書に目を通して、声が聴こえたような気がした。
「これで旨いものでも食べて元気を出せ」という親父の声が。
「何かの足しに使いなよ」というお袋の声が。

不思議で、ありがたく、そして切なかった。
偶然でないとしたら、天国から「おこづかい」を渡してくれたんだ。

僕は、この歳になって「おこづかい」をもらう情けなさと、
僕のことを見守ってくれている両親や祖父母のあの世での存在を感じて、
泣き崩れてしまった。

安らかに眠っているはずの両親や祖父母に心配をかけている自分。
本当にごめんなさい。他に頼るものが何もないのです。

 

 

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